毎年、春が終わり夏を迎える頃、嫌な音とともに近寄ってきて血を吸う“蚊”。
刺されるとかゆくてたまらないので、掻きつぶして肌に傷や痣ができることもよくあります。
最近、ジカ熱やデング熱といった蚊を媒介して感染する病気も広がっているので、蚊の存在は恐怖でしかないです。
蚊の活動が活発になる気温や、寿命はどれくらいなのか知りたいですよね。
また、蚊は家の中など温かい場所で冬眠して冬を越すこともあるのでしょうか?
日本に多い蚊の種類と特徴
蚊は日本だけでなく世界中に生息しており、その種類は100程になります。
まず、日本列島全域に生息している一般的な蚊の名前と特徴についてみていきましょう!
アカイエカ
- 色:茶褐色
- 体長:約5.5mm
- かゆみ:有(長引く傾向)
- 生息場所:家の中
- 活動時間帯:夕方~夜
- 活動時期:春~秋
- 感染症:フィラリア症
フィラリアは主に犬や猫に感染する寄生虫ですが、人間が感染するとリンパ系へ影響し象皮症と呼ばれる足が象のように大きく腫れる身体障害を発症します。
ヒトスジシマカ
- 色:黒と白の縞々、足の関節が白い
- 体長:約4.5mm
- かゆみ:有(アカイエカ・チカイエカよりもかゆみは強い)
- 生息場所:屋外
- 活動時間帯:昼間~夕方(特に16~18時頃)
- 感染症:デング熱
蚊といえば、ヒトスジシマカを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
さされるとかゆみが強く、見た目も気持ち悪いヒトスジシマカですが、寒いところが苦手なので北海道や青森には生息していません。
ただ近年は地球温暖化の影響で蚊の生態が少しずつ変化しています。
そのため、ヒトスジシマカの生息地域も徐々に北上しており、活動時期が長くなっていることが調査で分かっています。
今後、温暖化が進めば青森や北海道にも上陸するかもしれません。
チカイエカ
- 色:茶褐色
- 体長:約5.5mm
- かゆみ:有(長引く傾向)
- 生息場所:地下施設等(地下鉄の雨水枡・ビル地下の排水槽)
- 活動時間帯:1日中
- 活動時期:1年中
生息場所が少し特殊なので、普段あまり見ることがない種類の蚊かもしれません。
チカイエカは冬でも寒くない環境を自分で探して吸血活動や産卵をします。
そのため、地下鉄の構内や1年中温かいビルのオフィス内などでは冬に血を吸われる可能性があります。
アカイエカとチカイエカは見た目がそっくりなので、見分けることはかなり難しいです。
蚊はどんな一生を過ごす?
蚊は“卵→ボウフラ→成虫”という流れで成長していきます。
1~2日で卵から孵化し、10日程かけてボウフラから成虫へと成長、その後1~2か月ほど活動して寿命を迎えます。
ただ、蚊は天敵が多いため寿命が外的要因に左右されやすく、実際の平均寿命は3週間程になります。
蚊の天敵
- ボウフラの時 → ザリガニ・イモリ・カエル・タガメ 等
- 成虫の時 → トンボ・カマキリ・クモ・ゴキブリ・食虫植物 等
成虫になった後、メスの蚊は吸血して栄養を蓄え、寿命までに2~3回産卵をします。
1回の産卵で50~200個程の卵を産むと言われているので、その数は相当ですね…
気温による蚊の寿命の変化
蚊は暖かい地域・場所・季節を好みますが、気温によって寿命が伸びたり縮んだりすることはあるのでしょうか?
実際、蚊は誰しもが知っている通り寒さに弱い生物で、吸血活動を開始するのは15℃以上、25℃を超えて初めて活動が活発になります。
しかし、暖かさにも限度があり35℃以上になると動きが鈍り、暑さに耐え切れずに死んでしまうこともあります。
また、寒い時期だとヒトスジシマカは卵ですし、アカイエカは活動をしないだけで寿命を迎えるわけではありません。
チカイエカに関しては10℃ほどの気温があれば吸血・産卵活動を継続できる、かなりタフな蚊です。
そもそも、蚊は暑すぎる(寒すぎる)と感じると適温の場所を求めて移動します。
気温に応じて暑さや寒さに耐えるための対策を行っているので、気温の変化で寿命が短くなることはなさそうですね!
蚊は冬眠するの?
日本に生息する蚊は冬眠こそしませんが、種類によっては家の中などの温かい場所に身をひそめ冬を越すことがあります。
蚊の種類別に冬はどのようにして生息しているのか紹介します。
アカイエカ
秋に卵が孵化して成虫となり、そのまま屋内の物陰や暗いところでじっと冬が越えるのを待っています。
秋に成虫となったアカイエカの寿命は長く、約半年になります。
ただ成虫で冬を越したアカイエカは寿命が短くなるため、他の蚊と違い、暖かくなった後に1度だけ産卵して寿命を迎えるようです。
チカイエカ
チカイエカは冬眠どころか冬になっても活動をやめず、市街地のビルや地下などで1年中血を吸い産卵しています。
ヒトスジシマカ
卵のまま冬を越し、暖かくなったら孵化して成虫となります。
また、温暖な地域ではボウフラの状態のまま冬を越すこともあるようです。
寒くなると蚊はいなくなると思っていた人は多いと思いますが、冬でも活動している蚊はいます。
かゆいだけでなく感染症の原因にもなるので、なるべく蚊に刺されるのは避けたいところです。
冬場でも地下やオフィスなど暖かい場所に行く時は、蚊の対策を考えた方がいいかもしれないですね。