おしゃれなレストランで食事すると、肉料理の付け合わせによくクレソンが添えられていますよね。
日本名では“オランダガラシ”と呼ばれ、独特のピリッとした辛味とさわやかな香りが特徴のクレソン。
好んで食べる人は少ないと思いますが、中国やヨーロッパでは古くから薬として使われていたほど多くの栄養成分を含んでいます。
今回、クレソンに含まれる栄養とその効能、また茎まで美味しく食べられるおすすめの食べ方を紹介します。
クレソンに含まれる栄養素と効能!
17種類の必須栄養素含有量をもとに作成した“栄養素の高い果物・野菜トップ41”が、アメリカの研究者から発表されました。
このランキングで見事1位に輝いたのがクレソンで、スコアで100点(満点)を獲得しています。
野菜の中で最も栄養豊富といっても過言ではない、クレソンに含まれる主な栄養素とその効能をまとめます。
β-カロテン
強い抗酸化力を持つ栄養素で、体内で増え過ぎると害になる活性酸素の増加を抑えます。
活性酸素の増加を抑えると、ダメージを受けた細胞を修復する効果や生活習慣病・がんを予防する効果が高まります。
また、βカロテンは皮膚や血管の老化を防ぐため、高血圧や心筋梗塞の予防にもなります。
βカロテンは身体に必要な分だけビタミンAに変換されるため、ビタミンAの効能である、
- 目の健康を保つ(視力を正常に保つ、視力低下や眼精疲労を抑える)
- 皮膚や粘膜を丈夫にする(美肌効果や肌の粘膜を守る)
といった作用も期待できます。
ビタミンB1
世界で最初に発見されたビタミンで、疲労回復やイライラ解消、集中力の維持などの効能があります。
また、神経伝達物質を正常に保つ作用もあるため、アルツハイマーの治療や予防にも効果的です。
ビタミンB2
三大栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質)をエネルギーに変換する補酵素として、代謝を助ける作用があるためダイエットに効果的です。
他にも、主な効能として、
- 皮膚、粘膜、毛髪の再生
- 老化防止
- ニキビ、乾燥肌の予防・改善
- 口内炎予防・改善
などが挙げられます。
葉酸
葉酸は緑の葉に多く含まれるビタミンで、“造血ビタミン”とも呼ばれています。
細胞の生まれ変わりや赤血球の生成に欠かせない成分で、貧血気味の人や妊娠期の女性とっては特に摂取したい栄養素です。
効能として、
- 粘膜を健康な状態で保つ
- ガン、動脈硬化予防
が挙げられます。
葉酸が不足すると、貧血や口内炎、胃潰瘍などにかかりやすくなります。
ビタミンC
野菜や果物に多く含まれる抗酸化ビタミンで、活性酸素の増加を抑えるため、
- 生活習慣病、がん、動脈硬化を予防
- 皮膚・血管の老化を防ぐ
といった効能が期待できます。
また、皮膚や血管を若い状態で保つことで高血圧や心筋梗塞の予防、アンチエイジング効果も期待できます。
ビタミンCは免疫力を高める作用もあるため、風邪の予防や治療においても積極的に摂取したいビタミンといえます。
ビタミンE
βカロテンやビタミンC同様、強力な抗酸化作用をもつビタミンです。
活性酸素の増加を抑えるため、血管や肌の老化を防ぎ、生活習慣病やがん、高血圧、動脈硬化のリスクを減らします。
ビタミンK
血液を凝固させる作用を持つ栄養素で、止血で重要な役割を果たします。
また骨にカルシウムが沈着するのを助けるため、骨の形成や骨粗しょう症予防などの効能もあります。
カルシウム
人間の身体に最も多く存在するミネラルで、骨や歯を作ったり、骨を丈夫にして骨粗しょう症を予防します。
また、神経の働きに作用して緊張や興奮を静めるため、ストレス解消や高血圧予防といった効能もあります。
リン
カルシウムの次に体内に存在するミネラルで、骨や歯を作る働きがあります。
体内に取り込まれたリンは約8割が骨や歯を作る成分に、残り2割は筋肉や脳、神経などの様々な組織に含まれて代謝のサポートを行います。
鉄
必須ミネラルのひとつで、赤血球を構成する成分です。
赤血球は体内に取り込んだ酸素を全身に運ぶ働きがあるため、鉄を摂取すると貧血予防や疲労回復といった効能が期待できます。
マグネシウム
カルシウムと一緒に骨や歯の形成を行う働きがあります。
また、血液の循環を正常に保ち、体温・血圧・血糖値の調整を行う作用もあるので、高血圧や心臓病、糖尿病の予防にも効果的です。
カリウム
カリウムはナトリウムと一緒に、細胞を正常な状態で保つ働きをしている栄養素です。
ナトリウム(塩分)は摂り過ぎると高血圧の原因になるので、カリウムは余分なナトリウムを排出する役割も担っています。
カリウムの作用で余計なナトリウムを体外に排出できれば、むくみ防止や高血圧予防につながります。
不溶性食物繊維
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、両方をバランスよく摂取することが便秘解消において重要です。
クレソンには不溶性食物繊維が多く含まれています。
不溶性食物繊維は腸内で水分を吸収して膨らみ、便のかさを増して腸壁を刺激します。
腸壁が刺激されると、腸の排便を促す運動を活性化するので便秘解消につながります。
また、不溶性食物繊維には身体に有毒なダイオキシンなどの物質を、体外に排泄するデトックス効果もあります。
シニグリン
クレソンのピリッとした辛味成分がシニグリンです。
ワサビや大根などにも含まれるこの成分には強力な殺菌作用があるので、口臭予防や発ガン性物質の無毒化、食中毒予防に効果的です。
また脂肪の消化を助けるため、胃もたれの防止・解消や食欲増進も期待できます。
他にも、血行促進や皮膚を活性化する作用があるので、発毛・育毛促進といった効能もあります。
クレソンの茎は食べられる?
よほど太くて固い部分以外なら、クレソンは茎もすべて食べることができます。
自然のものは旬の時期(4~5月)を過ぎると茎が太くなりますが、スーパーで売られている栽培ものは一年中茎まで食べやすい状態に保たれています。
クレソンの茎は生で食べることができますが、少し加熱した方が柔らかくなり辛さや苦さも和らぐので食べやすくなります。
ただ、加熱するとビタミンCが失われるので、辛さや硬さが大丈夫な方は生で食べるのもありだと思います。
加熱する際は、鮮やかな緑色を保つために少し塩を加えるようにしましょう。
クレソンを茎まで美味しく食べよう!おすすめレシピ一覧
胡麻和え
クレソンを軽く茹でた後、食べやすい大きさに切って胡麻ドレッシングで和えて完成。
お浸し
軽く茹でて絞り、だし醤油で和えます。
お好みで、ごま、かつおぶしなどをトッピングして完成!
ベーコン巻き
軽く茹でる、もしくはレンジで加熱して5センチ程度に切ります。
3、4本まとめてベーコンで巻き、楊枝で刺して焼いて完成!
味噌汁・スープ
いつも食べているみそ汁やスープに食べやすいサイズに切ったクレソンを入れて完成です。
クレソンごはん
- フライパンにオリーブオイル少量を入れて温める
- 小口切りにしたクレソンをさっと炒め塩をふる
- 温かいご飯と混ぜて完成!
この他にも、天ぷら、しゃぶしゃぶなどでも美味しく食べられます。
天ぷらのように油で調理すれば、β-カロテンやビタミンK、ビタミンEといった脂溶性ビタミンも吸収しやすくなるのでおすすめです。
ちなみに、クレソンの辛みや苦みが気になる人は胡麻ダレやマヨネーズを加え、強めの味付けにすると食べやすくなるでしょう。
クレソン独特の辛味・苦みが好きな人は、しょうゆやぽん酢で和えるとよりピリッとした味になるので試してみてくださいね!
フランスでは“健康草”と呼ばれ、解熱や滋養強壮にも使用されるクレソン。
クレソンは生命力が強いので家庭でも簡単に水耕栽培できるのも魅力です。
水を入れたペットボトルに挿しておくだけでも育てられるので、手軽に育てて美味しく食べて、健康になりましょう!